「ジョブコーチになりたいんですがどうすればいいですか?」
「ジョブコーチの資格を取りたいので、研修を受けたいのですが」
こうした質問がよく寄せられる。
それだけ、ジョブコーチという名前がかなり浸透してきているんだろう、とは思う。
一方、就労支援現場におけるマンパワーはまだまだ不足しているのも事実。
国の職場適応援助者養成だけではなく、自治体独自の「ジョブコーチ」「ボランティアジョブコーチ」の養成も行われるようになってきている。
更に、昨年あたりから、緊急雇用対策の一環として「ジョブコーチ養成」や「企業内での障害者雇用介助者養成」などに取り組んでいるNPOもある。
「ジョブコーチになりたい」という人も、それぞれのイメージがあるが、「障がいのある人のサポートを企業で行う人」という所は、ある程度共通しているような感じを受ける。
しかし、「ジョブコーチになりたい・したい」と言ってきたとき、「お手伝い」的な関わりなのか、「ボランティア」として考えているのか、はたまた「仕事」として考えているのか、それによって、こちらの返答もずいぶんと変わってくる。
「仕事」として関わると言っても、ジョブコーチで生計を立てる、ということと、自分の仕事のあいている時に活動するという人と、活動した分だけのお金をもらいたい、というのでは違ってくる。
また、関わりへの思いも、「子どものために…」「やりがいを…」「何かお手伝いができれば…」という思いから、「しっかりとした仕事にしたい」「アドバイザーとして活動したい」等々、人それぞれ。
いずれにしても、「雇用現場に入っていって、障がいのある人のサポートをする」という仕事は、やりがいがあるかどうか、という側面はイメージしやすいだろうが、他人の人生に介入することの恐ろしさをどれだけイメージできるのだろうか?
最近、障害者雇用の裾野の拡大にともない、難しい支援が増えているという思いが強い。
それは「まずは雇用・とりあえず雇用」「とりあえず一般就労」的なアプローチの結果、ジョブマッチングも何もなく、拙速な雇用、就労が増えていることが、大きな原因の一つだと感じる。
そして、広がりと同時に、様々な「支える人」が必要なのは紛れもない事実で雇用現場におけるマンパワー不足から、「色々な人」が現場に介入するようになり、それがかえって混乱をもたらしていることも要因の一つと思える。
「人生を背負っているのは障がい者だけでありません」と、ことある毎に口にしてきているが、外部の人間が雇用現場に入っていくことは、そこで働く他の従業員の方の人生を大きく左右することにもなりかねない、ということを、イヤと言うほど痛感している。
また、「一生懸命であれば良い」という甘えは絶対に許されないということも……。
「ジョブコーチという仕事の恐ろしさ」こそ、もっと理解されてほしいと思ってしまう。
……ジョブコーチになるには? という本題にはまだまだ。
じゃぁ、どうすれば? という事については「その2」以降へ