食い違い

 Yさんのお宅にお邪魔してから、いくつか「あれ?」と思うところを確認するために、労働局に電話したり、その会社をお世話した支援期間にも出向いて話しを聞いてきた。

 結論的には「捉え方の大きなズレ」が生じてしまっていたということだった。
 特に、「実習期間」というのは、ご家族の思い違いで、実習を2週間、トライアル雇用、その後常用雇用にうつっていたのだった。

 昨晩、再度、お宅にお邪魔し、状況を説明してきた。
 どうして、こうした食い違いが生まれてしまったのか? ということ。
 そして、改めてご家族の思いをじっくりと聞いた。

 ……障害のある子どもを持つ親のぬぐい去ることのできない将来への不安、苦しみ。
 この一点に凝縮されるように思える。
 親は我が子の課題、足りないところを今までイヤと言うほど見てきた。見せつけられてきた。
 結果として、我が子に対する評価はどうしても低くならざるを得ず、自信などもてない。

 だから、いつも「周りにお世話になって」「迷惑をかけて」という思いをぬぐいきれず、いいたい言葉も途中で飲み込んでしまうし、わからないことがあっても、なかなか聞き出すことができずに「小さな疑問」もそのままにしてしまうことも多い。

 一方、支援者としての自分自身を振り返ってみると、「きちんと伝えた」はずのことが、伝わっていないという事に何度も出くわしてきた。
 知らず知らずのうちに「「業界用語(?)」を使ってしまっていることが多く、「これくらいわかっているだろう」という事で「丁寧に」説明していないことも多いからだと思う。

 また、本当に気をつけないといけないと思うことに、「その時の心に残った言葉だけが一人歩きしてしまう」ということだ。
 そして、いつしか「言った・言わない」「そんなつもりではなかった」ということになってしまい、ますます感情的になり、泥沼化していってしまう。

 一番大事なことは「なぜ、そうしたズレが生まれてしまったのだろうか?」ということをきちんとお互いに伝えていくことだと思っている。
「相手の気持ちをわかって下さい」とは言わない。
 既に発せられた言葉は消すことはできないし、植え付けられた思いを払拭することはなかなかできるものではない。

 本人にとっても事業所にとっても、どうすることがよいのか?
 そのためには、問題が生じたときに、「次ぎにつながるもの」を見つけられるかどうか、そこにかかっていると思う。

 Yさん……。
「おさむさんにお任せしますから」というご両親の言葉をもらい、明日、会社に出向き社長さんとお話しをしてくることになった。
 勿論、次ぎに進むためにどうすることが良いのかを探すために。

 責任の重さをヒシヒシと感じるけれど、自分にできることはきちんとやらなければ! と思う。
 勿論、できないことはできないけれど……。(^_^;)
(お)

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