この言葉を聞いた時、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
事業所を後にした車の中の会話は、とても弾んだものになっていた。
「仕事の間違いを指摘すると、『わかってます!』『何度も言わなくてもわかってます』『耳がついてます』って、すごい剣幕で口答えをしてくるんです。どうしてですか?」
先週、事業所を訪れたときの同じ職場のAさんからの質問。
年末は、落ち着いていたのに? なぜ? どうして? そんな思いを抱いての現場への支援だった。
B子さんは、そのA先輩がとても気に入っており、話しかけてくれたりするのが嬉しくて仕方がない。
しかし、コミュニケーションの苦手なB子さんは、気になっている人に注意をされることで、かえって興奮し感情的な態度になってしまう。
これは、家庭の中でも、大好きなお母さんに対しても同様で、「自分が気に入っている人であればあるほど、そうした態度に出るんだと思う」とお母さんも言っていた。
年末には、「この2年間のつきあいで、だいぶ慣れてきましたよ」と水野に穏やかに話をしていたAさんも、仕事が忙しい時に、いきなりそんな態度に出られたらたまらない。
イライラして、口調もきつくなる。
B子さんもますます、ヒートアップしてくる。
最初、そのAさんとこの間の関わり方、お母さんの話、対応の仕方などをゆっくりと話し合った。
彼女はAさんの事を決して嫌ったり、下に見ているわけではなく、好きだから、相手にしてもらいたいから故の態度であること。
しかし、職場の中ではそうした態度も少しずつ学んでいかなければいけないこと。
Aさんにも、興奮し始めたら、サッとかわすようにしてもらえたら…とお願いをしたりした。
その話の中、AさんがB子さんの仕事ぶりについて
「彼女はしっかり仕事ができるようになっている。今の職場で立派な戦力ですよ。標準の作業だったら、彼女が一番きれいに早くできるんじゃないですか?」と…。
Aさんは、この2年以上、B子さんのすぐ側にいた。
最初は、B子さんの対応に苦慮し、色々な思いを我々にもぶつけてきた。
時々顔を合わせるのではない。
仕事に行けば、毎日、夕方まで顔を合わせる。
「会社の方に申し訳ない」とお母さんはよく、口にする。
そんなお母さんの気持ちと、毎日同じ職場で働く人たちの気持ち。
そうした間にたって、少しずつ少しずつ、トラブルを抱えながらも、B子さんの社会人としての生活が積み重ねられてきた。
山あり谷あり…
一つ課題がクリアしたかと思えば、また新たな課題が…。
それでも、少しずつではあっても、前に進んでいるということを実感する。
何よりも、職場の方達の彼女の仕事に対する評価があがってきていることと、彼女に対する対応が、ごくごくあたりまえの対応になってきていることがすごいと思う。
色々な人の中で一緒になって一生懸命に働こうとするB子さんと、その周りの職場の方達…。
こうした姿が、他の職場でも見られるようになれば、と思う。