Happy Birthday!

Uta1988_2   今から21年前の今日、息子が生まれた。
 その日のことは今でもはっきりと覚えている。
 体育祭を週末に控え、学年練習や総練習などの準備で朝から授業はなかった。
 そんな中、僕は進路課長と一緒に、7月からの求人票受付を前に、会社訪問に朝から出かけていった。

 職場に戻ったのは夕方。
 その後、生徒達と一緒に体育祭の準備をしていた。

 義母から「産まれそうだから」と電話が入った。夜の8時を回っていた。
 産院までは40分。何とか出産に間に合った。

 産室に入って、どのくらいの時間がたったろう? 時間が経つのが早いのか遅いのか、そんな感覚も失っていたように思う。

「はい、お父さん、息子さんですよ! 身体をきれいに洗ってあげてください」

 生まれたばかりの我が子を手わたされた僕は、ただただ戸惑うばかりだった。
 助産婦さんに手伝ってもらい、息子の身体をおっかなびっくり洗った。

 その夜、静まりかえった産院を後にしたのは、夜中近くだった。

 その二日後、産院から電話が入った。
「様子がおかしいので大学病院に移しました。すぐにそちらに行ってください」と。

Welcom2  息子は頭蓋内出血をおこし、すぐに手術が必要な状態だった。
 手術室に運ばれる息子。ただ、待っているだけの自分…。

 あれから21年の月日が経つ。
 今朝も今朝で、ほんのちょっとしたことで、息子といやな雰囲気になり、気まずい思いで家を出てきた。

「心からその人のことを認め、ほめてあげなくては!」
 色々な場所で僕はそう口にする。

 ならば息子に対してはどうだ?

 そうありたい、優しく接してやりたい、もっと認めてあげたい…。
 そう思っていても、できない。

 それは、僕と息子との今までの時間がそうさせている。
「すごいなぁ。おまえもずいぶんと成長したよ!」
 そう口にしても、その何倍、何十倍も、息子を叱りつけ、傷つけてきたのだから、素直に受け止められないのだろう。

 これまでの時の流れを思う。
 親だからできないこと、それがたくさんあることをイヤと言うほど味わっている。
 自分自身を責めることの方がたくさんありすぎる。

 そんな苦い思いを抱きながらも、それでも、息子がこの世に生まれたことを何よりも感謝している。

 ……息子自身が「生まれてきてよかった」と思えるようになるには、この先、僕は何ができるのだろう? そんなことを改めて考えてしまう。

タイトルとURLをコピーしました