大学時代、学生寮で四年間を過ごした。
一年生の時、ある先輩が、よくコーヒーを淹れてくれた。
豆をゆっくりゆっりと丁寧にひく。
コーヒーの香りとゆっくりとした時間が漂っていた。
いつしか自分もコーヒーミルを買い、後輩にコーヒーを淹れるようになっていた。
あれから随分と時間が経った。
手動式のミルも世代代わりをし、忙しい中、いつしか電動ミルになり、そして、いつの間にか、サイフォンもどこかにしまったままになった。
コーヒーの味にうるさい、という訳ではない。
ゴロゴロと豆を挽くその「時」が好きなんだろう。
ボーッとユラユラと揺れるアルコールランプの炎を見つめたり…。
事務所にセブンイレブンのコーヒーを淹れるやつを置いた。
一杯50円で飲むことができる。
味は、う~む、こんなモンか。
それでも缶コーヒーを買うよりはずっと良い。
今日は、日曜と言うこともあって、事務所に誰もいない。
こんなときは、ミルを引っ張り出してきたくなる…。 (お)