「やりたいこと」と「できること」が違うと就労支援現場でよく言われるが、障害者以上に支援者自身が自問自答すべき言葉ではなかろうか、と思う。
僕の中にはいくら謝ってもどうすることもできないことがたくさんある。いや「謝る」という程度の話ではなく、「とりかえしのつかない」こと。
教え子の自殺、卒業生の自殺、トラブルにより一瞬にして「被害者」と「加害者」になってしまった生徒達…。他にも数え上げたら切りがない。
いずれにしても、起きてしまった後に事の重大さに気がつくことと、自己能力の見定めの甘さによることで共通している。
障害者の就労に関わっている人たちの中に、かつての自分と同じような人たちを見る。
使命感に燃え、「私たちが頑張らなければ」「私たちのやっていることは大切なこと」と力説する。しかし、端から見ていると、「できる」ことをはるかに超えたことをやろうとしている。決して「できない」とは言わない。
「『できない』と思ってはいけない」と頑なに思いこんでいるかのよう。
しかし、起きてしまってからでは遅いのだ。いや、今、まさに目の前で起きているのだ。
「知らなかった」「一生懸命頑張ったのだから」などは、何の理由にもならない。
「痛い目に遭わなければわからない」。これまたよく言われることだが、自分の限界を知ることがどれだけ大切なことか!
「できないこと」を「できない」と言える勇気と知恵を持ちたい。いや、持たねばならない。
自分自身への自戒を込めて…。
(お)