「作業所を卒業しなければお金は沢山もらえない。
でも、今お金を沢山もらえなくてもいいや。
作業所にこのままずっといて、作業所の“主”になったほうがいいんじゃないかと思い始めた。
ストレスもあまりないし、こっちの方が精神的に圧倒的に“楽”だし。
この考え方は間違いなのか? 一般社会から逃げているのか? どう思いますか?」
という本人の気持ちカード。
これは先の和歌山で行った福祉施設管理者研修で、高木さんの講義の中の一こま。
「このように思っている人が内の作業所にもいるんですが、どう答えたのですか?」と高木さんに質問があった。
「したくなったらすればいいのでは……? 大切なのは、支援者が今の一番良い場所を感じ取るセンスを持つ事じゃないですか?」と高木さんは答えた。
修さんの講義の中で息子が頑張って仕事をしている姿が映像で流れた。
突然で、しかも使うなんて知らなかった事もあり涙が出てきて仕方がなかった。
「仕事がむずい、むずい。」とふさぎ込んで帰ってくる我が子に、
「頑張って、頑張ってやればできるよ。」
とお尻をたたき続けた母親。
嫌だという本人の気持ちは分かっていたのに、知らない振りをしていた。
それが、本人の幸せだと勘違いしていた。
ジョブコーチとしても支援してくれていた修さんも「もう良いでしょう。」と言いたくて仕方がなかった。でも言えなかった……と。
やっと一般就労の夢が叶い、母親のしがみつきたい思いを感じていたから。
結局、体を壊して退職。
子どもに無理をさせすぎたと、あれ以来ずっと自分を責めている。
気持ちをうまく表現できない人の気持ちってどう掴めばいい?
ましてや我が子。
尊敬する人からこんな言葉を掛けてもらった。
「やってみないとわからなかったこと。人間のすることに無駄な事はないんだよ。
必ず次の役にたつ。あの時働いてよかったな。といつか息子さんに言ってもらえるさ。」
「働くことの最も大きい意味は、
働くことをとおして、人とつながる、社会とつながることである。
仕事とは、社会から孤立した人を社会に迎え入れることである。」
高木さんの講義の深さにどんどん引き込まれていった。
いろいろな形の働くがある。
今の我が子にとって一番いい働く場所はどこだろう?
和歌山の管理者研修で「働くということ」をテーマに三者からの素晴らしいお話をお聞きし、一番感激していたのは私かもしれない