よくA子が猫を抱いて話しをしていると、おばあちゃんが、「猫も話せるといいのにね。」と言っています。
私が猫の目を見ると、『しゃあねぇ、A子ちゃんじゃしゃあねぇなぁー大人しく抱かれていてやるか。( 一一)お母さん面白がって見てるんじゃないよ。』 と言いたい気持ちが良くわかるんだけど・・・
猫はそんな事言わないからA子は猫が好き(^o^)
いろいろ話しをした後にA子さんのお母さんからきたメール。
自閉症のA子さんは同じ事を何度も何度も言うので、お母さんもおばあちゃんも「聞きました。」をその都度言っているそうだ。もちろん事業所でも課題になり厳しく注意している。猫に一方的に存分に会話しているA子さんを、複雑な気持ちで見ているのだろうか。
雇用している事業所も対応が大変な事が多い。
【注意をされると女性従業員の告げ口だと思い、その人を睨みつけることが続いている】 とは事業所の捉え方である。
A子さんの気持ちはどうなんだろうと推測してみる。情報収集を、A子さんのお母さんからすることがある。家の中で、本音を聞いていると思われるからだ。女性従業員について何か言っていないか尋ねた。「髪の毛がさらさらで猫みたいです。好きだからみちゃいます。」と・・・
確かに、特性上表情や視線を上手く使えないところがあり、誤解されるかもしれない。自閉式入力と自閉式出力はかなり難解である。でも、世の中に操作的な言動があるなんて思いもよらないし、悪意に解釈する思考も考えられない。彼女は具体的な視覚の世界に生きているからだ。
人と人とのつながりでできている社会の中で、対人関係をうまく処理することができない人は脱落していくと言われている。しかし、しばしばトラブルを起こしたとしても、仕事の上で並ぶ者がいないほど高い能力を持っていれば排除される事はない。
自閉の人の独特の認識の仕方を、私達は通訳として上手に伝え、なおかつ本人の世界を尊重してもらえることが大切であり、同時に本人も能力を磨いて有用な人材になる事を目指さなければならない。
電話でお話をする中で、お母さんを知らないうちに傷つけてしまっているかもしれない。
でも私とお母さんの目的は同じ、唯一無二の存在として尊重され、働き続ける事である。