この週末、事務所の部屋の片付けに勤しんでいる。
人を増やすことを前提に借りていたもう一部屋を一端、取りやめることにしたのだった。
理由は二つ。
コストの見直しと法人としての障害者雇用へのとり組みの一時中断。
この法人設立当初から、障がいのある人が一緒に働ける職場作りをイメージしてきた。
仕事としては、ジョブコーチ支援で日頃現場に出ずっぱりのことが多い事務所での様々な事務処理業務。
電話応対から、メールのやりとり、ジョブコーチ研修における一連の業務。
現場支援の合間に行ってきた、様々な仕事は定型業務も多く、マニュアルさえきちんと作成すれば、可能性はあるだろうと…。
しかし、実際はそんなに上手くいくわけではなかった。
2年前、トライアル雇用を経て高次脳機能障害の方を雇用したが、一年ちょっとで退職と言うことになった。
次は発達障害の方が求人に応募してきた。
彼の場合は、ようやく病院から就労の許可が出た段階で、いきなりトライアルは難しいだろうと、事業主委託訓練から始めることにしたが、その訓練自体も本人には負担が強く、訓練を途中で中断をせざるを得なかった。
その後、ある方からの紹介で、精神障害の方の事業主委託訓練に取り組んだ。
訓練の3ヶ月は何とか終えることができたが、精神的なストレスが強く、トライアル雇用に進む事はできなかった。
この数年、一緒に働く事の難しさを痛切に感じている。
ジョブコーチ支援の対象者としての関わりと、同じ職場の同僚としての関わりとは全く異なるという当たり前の事実。
支援現場で心身共に疲れ切って戻ってくる事務所。
ドアを開け部屋に入った時の顔つきは、大体が眉間にしわを寄せていたりすることが多い。
また、支援のあり方について、水野などとは時には激しい口調でのやりとりにもなる。
電話にしても、そう。否定的な言葉が飛び交うことも多い。
本人に向かって言っている言葉ではないけれど、「きつい言葉」は職場の雰囲気を重苦しくもする。
狭い空間では、更に息が詰まる。
そんなこともあり、もう一部屋、別の空間をということで部屋を借りていたのだが…。
また、職場の人数も居心地に大きく影響をする。
3、4人の職場では、一人一人の関わりの密度が非常に濃くなってしまう。
それは、何も障害者に限ったことではないが…
「一緒に働く」ことの難しさ、大変さを思い知らされると同時に、障害者雇用に取り組んでいる事業所の「すごさ」に思いを寄せる。
また、自分たちが雇用するときには、外部の支援者、ジョブコーチが本当に入って欲しいと思った。
「障害者に対する支援をしているんですから、わざわざ外部の支援者など…」
そんなことも言われたりしたが、「ジョブコーチ支援」と、「障害者雇用」は、全く異なるものだという事を実感する。
そして、1号ジョブコーチと2号ジョブコーチの役割の違い、というものも朧気ながら感じたりもする。
「ジョブコーチは、現場の中にあって、その人をまっすぐに見ます。でも、一緒に働いている人たちは、仕事にまっすぐ向かっていますから、上手くいかなくなったときや、何か問題があったときに、『どうした!どうした!』となります。
ですから、本人と仕事、そして事業所全体を見渡す存在として私たちがいます」
そんなことを事業所で話すことも多いが、その言葉は自分たちの実感でもある。
くらしえん・しごとえんとしての「障害者雇用」は少し時間を空けることにした。
もっと、細やかな配慮ができれば、と思うのだが、今のくらしえん・しごとえんには、そこまでの組織としての力量はない。
しかし、くらしえん・しごとえんに関わった本人たちはどうなんだろうか?
決してマイナスではなかった、そう思ってもらえれば、嬉しいのだが……。