時々、何かの拍子にフッと昔のノートやら、「ホントにひまだねぇ~」などと言われながらも毎日せっせと書いていた学級通信やら、すっかり黄ばんでしまった本などを引っ張り出したくなる。
それだけ歳をとってきたんだろう、と思いもするが、先だって小学校で話をしたときに思い出した詩、「ゆずり葉」…。
あの頃よりも、もっと深く受け止めると同時に、今の社会を作り出している大人の一人としての責任に思わず眉間にしわがよってきてしまう…。
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『ゆずり葉』 河合酔茗 作
子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入れ変わってふるい葉が落ちてしまうのです。こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずってーー。子供たちよ。
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです。
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。
読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受け取るのです。
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれどーー。世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。
そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見る時が来るでしょう。
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