昨日、NPO法人しずおかユニバーサル園芸ネットワークが主催する「浜松市園芸ユニバーサル園芸講演会」に行ってきた。
農業分野における障害者雇用について、特に「農家への障害者派遣」という取り組みは、全国でも先進的(?)とされているようだが、自分としては釈然としない部分がたくさんもっている。
その疑問に対する答えを探しての参加だったが、アドバンテッジリスクマネジメントの秦政氏、(独)農業・食品産業技術総合研究機構の山下仁氏のお話は、さすが第一人者のお話、心の中にストンと落ちていった。
「農業」という分野への「派遣」という点について、この間の「派遣切り」の問題が出る前から、疑問を持っていた。
農業のフィールドへの職域開拓という意味では秦氏も触れていたが、非常に大きな可能性を秘めているとは思う。その点は全く否定はしない。
しかし、「派遣」となると、「指揮命令権は農家」となり、障害者への指導や関わりの問題に「農家」がどこまでやっていくのか、ということ。また、事業主の「安全配慮義務」については、どのようになっているのだろうか? とい疑問。
もっと根本的な問題としては、今日の農作業における収入の低さ。
特例子会社の社員となれば、最低賃金は保障される。しかし、それだけの「働き・労働力」として成り立つのだろうか? という疑問。
本当に一人一人が、「働き手」として自分の給料を稼ぐという「あたりまえ」のことをどのように位置づけているのだろうか、ということ。
決して高い収入を得ているわけではない、農業に従事する人たち。
農家は福祉の世界ではない。
障がいのあるなしに関わらず、色々な人たちと一緒に働くことこそ「あたりまえ」であり、めざすべきものであると思うのだが、賃金をはじめとして、「一緒に働くために必要なことは何か」という本質的な部分が見えてこない。
「福祉の論理、福祉のフィールドからの農業分野への進出という視点はあるけれど、純粋に『農業』というフィールドからの視点が弱い」と山下氏もおっしゃっていたが、まさしくその点ではないかと思う。
それでも、今まで疑問に思っていたことを「しずおかユニバーサル園芸ネットワーク」がしっかりと課題として意識しており、その課題に対してこれからどのような答えを探し出していくのか大いに期待したいと思う。