「話し」の広がり・深まり

 どこからあんなに人が出てくるのだろう?
 とぎれることのない人の波、波、波……。
 東京駅に降り立つ度に、「人酔い」におそわれる。

 厚生労働省、世田谷の「けやき」、そして、この春東京に異動になったIさんとの一杯。
 とっても疲れたけれど、それ以上に満たされた気持ちで浜松に戻ってきた。

 本当にたくさん、たくさん話しをしてきた。

 最初に訪れた厚生労働省。
 先にまとめられた「障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会報告書」をもとに、今後のジョブコーチ養成研修のことなど、色々と意見交換をすることができた。

 報告書を読んだだけではわからない部分や、その意図する所など、話しはそこにとどまらず、実に色々な事に及んだ。

「言葉が言葉を生む」まさしく、そんな感じだ。

 漠然としていた思いが、その人との話の中で、姿を鮮明にしていく。
 姿を表した「言葉」は、また、新しい「言葉」を連れてくる。
 そして、単に記号にすぎなかった「文字」に込められた思いが重なっていく。

 そんなやりとりは時間があっという間に過ぎてしまう。
 他の人たちが黙々とデスクワークをしている片隅で、大きな笑い声が出そうになるのを押さえながらの時間。
 こうした話ができるようになったこと、そして、また、話しをしたい、と思えるようになったこと、それが嬉しい。

 午後は午後で、世田谷にある精神障害者の事業所の「けやき」に足を運んだ。
 昨年、「ネットで検索して、ホームページを見ました。是非、一度、東京で話しをしてくれませんか?」と連絡が入ったのが、きっかけだった。

 折角東京に行くことになったのだから、ということで、急遽連絡をし、事業所にお邪魔させてもらった。
 ここでも、話しはアチコチに飛びながら、気がつけば2時間近い時間が経っていた。

「いや、自分の中でモヤモヤしていることを、あれやこれやと話しを聞いてもらっているうちに、整理されてくるんです」と二人で納得しあっていた。

「所変われば……」とは本当に良く言ったもので、「へぇ~、そうだったんだ!」と気がついたこと、新しいイメージがどんどんわいてきた。

 その事業所の帰りのミーティングに参加させてもらい、挨拶までしてきてしまった。

 そして、夜。
 この春、東京に異動になったIさん。考えようによっては全国規模の転勤先の中、東京ならまだ近い方か。
「東京に来た時には是非声をかけて下さい」と言われたことを律儀に守り(笑)、早速連絡をし、一杯飲んできた。

 新しい職場にきて2週間。職場の人たちもどんな人か、まだまだわからず……。
 そんな心細さも手伝ってか、はたまた、ついこの間の話しの延長線上なのか、ここでもまた、しっかりと話し込んでしまった。

 ……
 僕自身は決して「おしゃべり」だとは思っていないが、元来、「話すること」「教えること」を生業にしてきただけに必要があれば、話す。
 1時間でも2時間でも話すし、話すことは苦痛でも何でもない。

 時にはしたくはなくても、論争になることもある。
 これは、本当に疲れるが、言うべき時に言うべき言葉を持たないといけない、とも思っている。

 気心が知れた人との他愛のないおしゃべり。
 そして、自分の考えが確かめられ、広がり、深まっていく……、そんな「話し」。

 その二つが自分を豊かにしていってくれる。

 ……
 楽しく充実した一日だったが、帰りの新幹線の窓ガラスには、疲れ切った「おっさん」が映っていた。
 (お) (^_^;)

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