Kさんの診察同行。
診断が確定するだろう緊張の待ち時間。
私達と合流して椅子に座るとき、お母さんの隣に座らないKさん。
きっと他人が居ると照れくさいのだろうと思っていた。
そして、いよいよ呼ばれる少し前、お母さんに対して、「帰っていいよ。」 と一言。
その顔は拒否的では無く、気遣っている様子に見える。
Kさんが何故そういうのかをお母さんはわかっているのだろう、何も言い返さない。
「そうか……。お母さんが悲しむ顔を見たくないと思っているの…? 優しいね。」と私が言うと、 「でも、この頃は泣かなくなったね。」と、お母さんの顔をのぞき込むKさん。
その時、お母さんは少し涙ぐんでいた。
親子で寄り添いながら厳しい現実を乗り越えて来たんだろうな。
母親と娘の強い絆を感じた瞬間だった。
「先日、水野さん達が同席してくれた事業所との話し合いで、仕事が出来ないなんて本当にびっくりしたんです。でも、社会に出たら、こうして支えてくれる人が沢山いるんだ、親が何かをするのはもう違うんだなって思いました。」
学校や家庭では問題が何もなかったというお母さんは、本人より柔軟に今の状況を素早く理解し、最善の道を前向きに進もうと考えることができている。
帰りにKさんが「どうしよう仕事。」と不安がっていた。
お母さんは、「仕事の事を考えて、緊張して不安になっているんですよ。」と、本人の気持ちが良くわかっている。
表面的には平静を装っているが、内面は複雑でいろいろな事が不安になっていることだろう。
「一人で悩まなくていいんだよ。Kさんがどうすれば幸せになれるのか?ご家族と私達みんなでこれから考えていこう。」
そう伝えてその場を去った。
Kさんの人生が大きく変わるかもしれない分岐点。
ジョブコーチの責任は生半可ではない。