「自戒」

 人の人生をそうたやすく理解したと傲慢になってはいけない
 ましてや、想像を絶するようなつらい思いをしてきた人たちの
 ただ表面にうつるわずかばかしの言動に
 君は、その人の抱える命の重みを
 推し量ることができるだろうか

 君が得たという知識は、何のために役に立つ
 その人を君の知識の範疇に押し込み
 その範疇からはみ出ようとする魂を
 問題だと、さも分かった振りをして
 その人の生きづらさを増幅させてはいないか
 しかも、出来もしないのに
 その人を救ってやろうとしている傲慢な自分がいはしないか

 君が大切にしなければならないのは
 その人が生きてきたことへの畏敬
 その人の生きづらさを、自らに重ね合わせ
 想像してみようじゃあないか、
 悩み、もがき、苦しみ、どうしようもない無力さの中で
 それでもなお、何が出来るか
 知恵と創意を集めてみようじゃあないか
 私たちに出来ることは
 その人が自らの力で切り開く人生に
 寄り添えるかどうか

 そして
 その人の「生きていてよかったよ」というつぶやきに出会うとき
 きっと君の人生が輝くだろう

 (『ゆたらかに…』ひとは25周年によせて より
  作:社会福祉法人ひとは福祉会 理事長 寺尾文尚)

 6日間に及ぶジョブコーチ養成研修が終わった。

 今年の6月、広島からお声かけをいただいた際、時間をつくって、ひとは福祉会にお邪魔し、施設を見学させていただいた。
 その時にいただいた、25周年の記念誌。
 ページを開いて、最初に飛び込んできたのが、この「自戒」という詩だった。

 心の奥底までドスンと来た。
 そして7月の養成研修は、この言葉に集約していきたい…そう思った。

 最終日の閉講式。
 毎回、研修のまとめの時に、色々な言葉をお伝えしているが、今回はこの「自戒」という詩を皆さんにお伝えして養成研修が終わった。

 今回も、また多くの人達との素敵な出会いがあり、そして、また、いつもの「日常」が始まった…。

 よしっ! と呟いてみる…

 

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