「就労支援者にとって大切な資質は何でしょう…?」
「…そして、支援者に求められる能力は何でしょうか…?」
自分でも答えが見つからない問いを学生達に問いかけてきた。
静岡県立短期大学での「就労支援サービス」の最後の授業のこと。これが、試験の代わりのレポートのテーマ。
専門的な用語や法律を初めとした制度を説明しても、面白くはないだろうと思い、色々な事例を紹介しながら、人が働くことや就労支援者の役割などを考えてもらえたらと思ってきた。
高次脳機能障がいの方は、まさに生徒達の父親の年齢。「皆さんのお父さん、お母さんと同じ年齢の方です…。」
発達障害や自閉症の人は、同い年の若者の話。
更にニート、フリーターまで話しは広がっていく。
色々な現場にジョブコーチとして支援に入り、戸惑ったこと、悩んだこと。うまくいかなかったこと…。
「もし、あなたがその場所にいたら、どう考え、どう行動しましたか?」
「現場は『生きて』います。その場で判断し、即答しなければならないことがたくさんあります。そして、あなたがした判断によってその人の一生が変わることだってあるのです」
とにかく普段思っている事を、これでもか! というくらいに語ってきた。
カリキュラムの関係上、90分授業2コマ連続は終わるとさすがにぐったりと来る。
それでも、毎回、学生が提出するレポートを読みながら、彼ら、彼女らのみずみずしい感性に触れることができ、若者のもつ可能性に期待をしている自分が、何とも言えず嬉しい。
「反抗は若者の権利ではありません。若者の義務です」
むのたけじさんの言葉だったと思う。
「思っている事をまっすぐに伝える事を恐れないでください。色々と迷って、悩んで、アチコチぶつかって…。それでも、少しずつ、前に進んでいって下さい。
そして、良い支援者になって下さい
僕も皆さんに偉そうなことを随分と言いました。その分、良い支援者であるように努力し続けます」
そうして授業を締めくくった。
「人を育てる」という仕事は、とりもなおさず、自分が育てられること、自分が育ち続けることに他ならないと思う。
…実に久しぶりに味わうこの感覚を与えてもらえたことに何よりも感謝したい。
来月10月からは、愛知教育大学で15週にわたり、「就労支援論」の授業を行う。
何とも言えないドキドキ感がたまらない。
「教えるとは、共に未来を語ること
学ぶとは、誠実(まこと)を胸に刻むこと」
(「ストラスブール大学の歌」 ルイ・アラゴン)