ジョブコーチをする上で必要な心構えの一つとして、「他人の人生に関わることの恐ろしさ」そして「他人の人生に関わる事への『覚悟』」ということを今までも言ってきた。
しかし、最近、高次脳機能障害や精神障害、発達障害といった方とのつきあいが増えてくるに従って、他者に関わる覚悟以上に、その「覚悟」は自分自身に向けられているのだと思うようになった。

昨日も高次脳機能障害の方と職場の話を中心に話を聞く時間をもった。今、職場内では、じっくりと時間をとることは難しいために、休みの日に事務所で話を、ということになったのだったが。
「今までこんなにゆっくりと話を聞いてもらえたことはなかったです」「時間があっという間に過ぎていきました」
気がついたら2時間が経っていた。

 どんな言い方をすればその人の心に落ちていくのか、一つ一つ、言葉を慎重に慎重に選びながら、話をすすめていく。
それでも話をしていると、時には、相手の顔が歪んだりする。顔が紅潮してきたりもする。
今まで封印していた思いであったり、できることなら目をそむけたい事実であったり…。
嫌なこと、不快なことをほじくり返し、そして、「できないこと」をこれでもか! というくらいに突きつける。
職場内での状況が非常に複雑になり、タイムリミットが迫っているときもある。
そんなときなどは、情け容赦なく相手に迫っていくことも求められる。
本人からは、「話が整理できた」「自分の障害が理解できた」と、言われても本当にしんどいことを相手に求めているんだと思う。

そうした時間は同時に、自問自答の時間でもある。
…自分は同じようなことを人に言われたらどうするんだ?
今、自分が抱えている問題に対して目を背けてはいないのか?
変わらねばならない自分と向き合っているのか?

誰がなんと言おうと、逃げている自分の姿は自分が一番よくわかっている。
立ち向かわなくてはならない課題を解決するには、自分自身の気持ちであることもわかっている。
それでもできない自分。できないことを他人や何かのせいにしている自分。
そして、自分の弱さを認めようとしない自分…。

ジョブコーチとして現場に入ると、その職場の中には様々な人生があることを知る。
誰もが人生の大変さを背負いながら、歯を食いしばって働いていたりする。
人生を背負っているのは障害者だけではないことを痛感する。
そして、その「誰も」の中に、紛れもなく自分がいることを。

人に偉そうなことを言う以上、「おまえはどうなんだ!」という事がいつも跳ね返ってくる。
自分と向き合う覚悟、それがなければ、ジョブコーチをしてはいけない、そんな思いを感じる今日この頃。

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