「ジョブコーチがいらなくなる日を」

全国手をつなぐ育成会連合会の「手をつなぐ」2016年8月号に掲載されました。
「ジョブコーチの役割について紹介する」ということが原稿の依頼内容でしたが、限られた紙面の中で育成会の家族の方が主な対象ということで、結局、10年以上のつきあいのAさんの話を中心に書かせてもらいました。

Aさんは平成元年生まれ。IQ23。重度知的障害。
入所施設からの実習、一般就労を目指しつつも施設での訓練。その後の就職・離職、グループホーム入所、生活介護へ。そして再就職。片道2時間近い通勤…。
当初は1年しっかり続けられるのだろうか? という不安もありました。
色々なトラブルがありつつも、事業所の理解と支えにより、頑張ってきました。

そして最近、より会社に近いグループホームに移ることになりました。
このお盆明けから、新しいグループホームからの出勤です。
どのルートを通ればより安全なのか? 危険な場所は? 等々、一緒に歩きながらの確認です。
彼の足でゆっくり歩いても20分。
雲泥の差です。

新しいグループホームに慣れるのに、またたくさんの時間を必要とすると思います。
通勤途上で予想もしていないようなトラブルもきっとあると思います。
それでも、丁寧な時間を積み重ねていけば、必ず次が見えてくるということは、彼とのつきあいの中で、私たちが学ばせてもらったことです。

「今日は有給にしてもらった」
「あ、ここ、俺の会社のそば!」
お母さんは彼の口から、「有給」とか「会社」という言葉が出てくること自体に驚いたとのこと。
また、誕生日には、昼休憩に会社の方がケーキを買ってきてくれて一緒に食べた、等ということも。

つかず離れず、とは言いながらも、確実に彼の職場に出向くことは減ってきています。
「用無し」になってきている自分自身をうれしくもあり、また、ちょっと寂しくもあり…。
そんな2016年の夏のエピソードです。
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